同学年のライバルは「静」と「動」の個性?
皆さん、フィギュアスケートは好きですか?
浅田真央選手や荒川静香選手の活躍もあり、今ではすっかり国民的なスポーツになったフィギュアスケート。
そんなフィギュアスケートの大舞台、全日本選手権2024 男子シングルが2024年12月20日より開催されます。
そんな中、特に注目を集める2人の選手がいます。
鍵山優真選手(オリエンタルバイオ/中京大学)と、同学年でジュニア時代から競い合ってきた佐藤駿選手(エームサービス/明治大学)です。
ライバル関係と言われることも多い2人ですが、私としては2人の演技にはそれぞれ「静」と「動」と言える強みがあると感じております。
このページでは、そんな2人の演技の特徴や全日本選手権の見どころについて、私個人の意見を交えながらご紹介いたします。
鍵山優真のフィギュアスケートは?
まず紹介するのは鍵山優真(かぎやまゆうま)選手。
2003年5月5日 神奈川県生まれの21歳
身長161cm
彼のフィギュアスケートの師は実の父親で、1992年アルベールビルオリンピック、1994年リレハンメルオリンピックでフィギュアスケート男子シングル日本代表として活躍した鍵山正和さん。
父親を尊敬する鍵山選手の容姿やプレースタイルは、そんな父親に似ていると言われることも多いようです。
ジュニア時代から目立った成績を上げていた鍵山選手ですが、2018-19シーズンで初の国際大会優勝を飾り、補欠として選考とされていた日本代表としても大会に出場しました。
途中は2位につける活躍をしておりましたが、最終的な順位は4位で惜しくも表彰台を逃しました。
とはいえショートプログラムで3回転アクセルを成功させ、いきなり4位につける彼の演技は日本国民の印象に残ったことでしょう。
その後も快進撃を進める鍵山選手は2022年の北京オリンピックで銀メダル、団体戦銀メダル、世界選手権でも銀メダルを3回獲得と銀メダルを大量獲得。
2024年四大陸選手権では優勝を果たし、日本フィギュアスケートのエースとも言える選手に成長しました。
演技の細部に光る「静」に注目!
そんな鍵山選手の演技ですが、私がもっとも注目しているのは「静」の美しさです。
たびたび比較される彼の父親、鍵山正和選手は膝の使い方が上手い選手だと言われており、滑りやジャンプ、着氷の「やわらかさ」が特徴的な選手でした。
私は鍵山優真選手の演技について、父親譲りの「やわらかいスケート」を更に進化させた「静かなスケート」だと感じております。
鍵山選手は膝に限らず、とにかく全身の関節の使い方が上手い選手。
非常に伸びやかに柔らかく関節を使い、自由自在な体重移動もあわせることで抵抗感を一切感じさせない演技が彼の強みだと感じています。
彼の演技を「静」と表す1つの理由はこの「抵抗感の無さ」にあります。
実際に氷の上を滑っているフィギュアスケーターに対する表現としては適切ではないですが、まさに氷の上を滑るような演技が特徴です。
そして、2つ目の理由が「精密なエッジ捌き」にあります。
世界的に見ても、彼のスケートは片足で滑る時間が長いと感じます。
両足で滑ることが少ないのはもちろんのこと、クロスオーバー等の足の入れ替えも少なくなっています。
このスケートを可能にするのが、鍵山選手のブレードエッジを操る技術。
ブレードが氷に吸い付くような滑りを得意とし、鍵山選手のスケートでは「氷を削る音が聞こえない」と言われることも多いんです。
2023年に彼のコーチに就任した、カロリーナ・コストナーさん(36)も、彼の演技に対して「なんの摩擦もなく滑っていく」と評価しています。
そんな鍵山選手ですが、今月頭にフランス・グラノーブルで開催されたGPファイナル男子SPでの演技が、まさしく「静」を体現する素晴らしいものでした。
この舞台で彼が選んだのは、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」でした。
しかも、ボーカルトラックの無い、クラシック・ギタリストによるアレンジVer.
これは非常に静かな楽曲なんです。
つまり、ブレードエッジが氷を削る音を誤魔化すものが一切ないということです。
演技開始時の加速動作ですら、無駄な音が許されないプログラムです。
そんなプログラムを完璧に滑ってみせた鍵山優真選手。
まさしく「静」を操る魔術師のような選手だと感動した演技でした!
少し熱く語りすぎてしまいましたね(笑)
それでは、次は佐藤駿選手のご紹介をさせていただきます。
佐藤駿のフィギュアスケートは?
お待たせしました。次に紹介するのは佐藤駿(さとうしゅん)選手。
2004年2月6日 宮城県生まれの20歳
身長162cm
鍵山選手とは同学年でジュニア時代からライバルと言われ続けてきました。
背格好も同じくらい、GPファイナルでも2位、3位に並ぶなど見ている側も熱くなってしまうライバル関係ですよね。
幼い頃から、同じ仙台出身の羽生結弦選手(30)に憧れており、幼稚園時代にプレゼントされたペンダントを今でも試合に持ってきていると語っています。
2018-19シーズンより日本スケート連盟の強化指定選手に選ばれ、同年9月に彼の代名詞ともいえる「4回転」を初めて成功させました。
主な実績としては、2024年GPファイナル3位、2024年四大陸選手権2位、2023年四大陸選手権3位など。
その華やかな実績を見ると、鍵山選手と競り合っているんだな、というのが非常に分かりやすいですよね。
ジャンプの天才は「動」のスケート
そんな佐藤選手の演技ですが、私としては「動」がポイントだと感じております。
彼の武器と言えば何と言っても「4回転」です。
2018-19シーズン、全日本ジュニア選手権予選、関西選手権で自身初の4回転トウループを成功させたことから、彼の伝説が始まります。
実はこの4回転も、2週間前に練習で出来たばかりだったというので驚き。
その後の全日本ジュニア選手権本戦ではプログラム内に4回転トウループを2回も組み込むなど、完成直後から自信の武器にしておりました。
その習得速度はまさしく天才と言って良いでしょう。
その後も4回転トウループや4回転サルコウを駆使して世界に挑み続けた佐藤選手ですが、翌2019-20シーズンに日本人2人目となる4回転ルッツを成功させました。
1人目の成功者は言うまでもなく地元の先輩、羽生結弦選手です。
その後は4回転を3本組み込んだプログラムを成功させるなどし「ジャンプの天才」と呼ばれるようになっていきました。
そして何が凄いって、ここまで全てジュニア時代の出来事なんです。
そんな佐藤選手を表す「動」のスケートは何と言っても派手な4回転ジャンプ!
前述したトウループ、サルコウ、ルッツに加え、練習のみとはいえ4回転ループも成功させている佐藤選手。
さらに未完成ながらも4回転フリップにも挑戦中の佐藤選手。
本人も「4回転ジャンプの精度や確率は誰にも負けたくない」と語っております。
そんな4回転を成功させる佐藤選手の強みが回転の速さにあります。
ジャンプの滞空時間にはどうしても限界がある中で、これほどまでに4回転を成功させることができるのは回転速度を上げることでなせる技。
彼を指導する日下コーチも「回転ピッチがとにかく速い」と太鼓判を押しています。
全日本選手権の見どころ
そんな鍵山優真選手、佐藤駿選手がぶつかる今回の日本選手権。
同学年のライバル対決、2人の静と動に注目して見守りたいところ。
これまで、直接対決ではどうしても鍵山選手に軍配が上がることが多かった印象ですが、もはや2人の実力は拮抗していると言っても過言ではないと感じます。
果たして、全日本選手権で初優勝を飾るのは鍵山優真か佐藤駿か?
2人以外にも、若手の三浦佳生やベテラン山本草太など、見所が盛りだくさんの全日本選手権。
私もテレビの前で応援しようと思っておりますので、是非、私と一緒にリアルタイムで盛り上がりましょう!
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