エバースの理詰め漫才が面白い!着眼点がクセになる!

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M-1出場のエバースってどんな漫才師?

M-1グランプリ2024の決勝出場で注目が集まるエバース。

吉本興業所属、2016年結成のエバースは、ボケの佐々木隆史(ささきたかふみ)とツッコミの町田和樹(まちだかずき)の2人によるお笑いコンビです。

主なネタのスタイルは漫才。

近年の若手漫才師は「漫才コント」というスタイルを取ることが多いと言われています。

前振り→じゃあやってみようか、と言って小道具を使わないコントに入るスタイルですね。

そんな中、エバースは硬派なしゃべくり漫才で勝負をする若手漫才師です。

しゃべくり漫才の代表的なコンビを挙げるなら、ナイツやミルクボーイ等をイメージしてもらえると分かりやすいかと思います。

そんな2人は東京NSCの21期生。

同期はネイチャーバーガー。

1期上の先輩にはぼる塾のあんり、きりやはるか、3時のヒロインのかなでがおり、1期下の後輩にはナイチンゲールダンスなど、漫才師を多く輩出している時期だと言えそうです。

個性的な着眼点の理詰め漫才が面白い

エバースの漫才スタイルは言ってみれば「理詰め漫才」と形容できるかと思います。

かまいたちやとろサーモンの漫才にも多く見られるスタイルで、日常生活でスルーされがちなことを理詰めして深堀ることで、いわゆる「マトモな方」が追い詰められていく漫才です。

このように言うと、お笑いファンの方なら「最近多いよね」と感じるかもしれません。

しかしエバースの漫才で面白いポイントは独特な着眼点。

理詰め漫才は、いかに観客を納得させられるか、おかしいことを言っているのに腹落ちしてしまう説得力が大事なスタイル。

前述した先輩コンビをはじめ、多くの理詰め漫才のネタは「店員と客」や「友人のする怖い話」など、誰もが経験するあるあるネタをテーマにしているものが多いと感じます。

そんな中、エバースのネタはというと「野球肘」や「タンデム自転車」など。

共感しにくいどころか、人によっては一生で一度も口にしないような単語がネタのタイトルとして使われています。

それでありながら話の導入が非常にうまく、実体験は無いにも関わらず理詰めに引き込まれてしまいます。

次の項では、そんなエバースの漫才の魅力を、さらに分解して「理詰め」していきましょう。

理詰めをするうえで最強の武器、説得力を持っているボケ担当

その前に、まずはエバースのネタを見ていただきたいです。

ここでは私も大好きなネタである「タバコ」の動画を引用させていただきます。

ネタの流れとしては、ボケの佐々木さんがツッコミの町田さんに対して「タバコをやめた方が良い」とアドバイスをする内容。

というと、漫才好きな方ならフットボールアワーのネタを思い浮かべる方も多いかと思います。

ボケがツッコミの喫煙を辞めさせようとして見当違いな発言をしていく、大先輩フットボールアワーの漫才テンプレートをそのまま使う度胸と、ネタの端々に散りばめられたエバース節が見どころです。

公式YouTubeチャンネルより

いかがだったでしょうか?

あまりお笑いのネタを理論的に見るのはよくないと感じながらも、エバースのネタには関心するポイントが非常に多いんです。

前の項でも書いたとおり、彼らのネタは共感しづらい非日常のテーマも多くあります。

そんなテーマに観客を引き込む立役者は、実はボケの佐々木さんではないかと私は感じています。

エバースのネタで進行を担当するのは主に彼の役目。

前提を説明したうえでボケることが大切な理詰め漫才において、観客席に視線を向けた丁寧な「話し口調」でそれをしています。

やり過ぎ感を出さずに客席との距離を縮める佐々木さんの話術があってこその「独特なテーマ選定」が出来ていると感じます。

そして、もう一つの敵ともいえる「置いてけぼり」の状態。

理詰め漫才で共感が大切なのは引き込みだけではありません。

普段は気にしないようなことを「おかしい」といちゃもんを付けるようなものなので、お客さんが冷静になってしまうと「何言ってるんだ?」と冷めてしまいやすい理詰め漫才。

そこを繋ぎとめる腕も必要とされるスタイルなのですが、引き込みでは話術を生かしていた佐々木さんが、ここでは打って変わって無言のテクニックを使っています。

漫才の端々で、お客さんの疑問を上回る「すっとぼけ」を佐々木さんは散りばめています。

・ややオーバー気味のキョロキョロした動作

・自分が理詰めしておいて、急に心配になって焦る  など

お客さんからすると「自分以上に困惑している人がステージ上に現れる」ことで、自分の疑問をスルーしてしまう、ネタの世界から離れずに見入ってしまう、という状態を作り出していると感じます。

漫才に緩急をつけ、観客の共感を先導するツッコミ担当

一方のツッコミ担当、町田さんは王道のお笑い好きを引き込む魅力を持っていると感じます。

序盤の導入部では熱量低めで口数少なめな町田さん。

ボケの佐々木さんが、やや無理のある設定を持ち前の話術で場内に浸透させる間、町田さんはテンションを上げるわけでもなく、むしろ観客と同じ熱量で一歩引いてネタに参加しています。

佐々木さんの理詰めが勢いに乗ってきて、うっかり納得しかけてしまうときの間や表情も絶妙で、観客もついついつられて納得してしまいます。

実はエバースで、理詰め漫才の共感の部分を担っているのは町田さんなのかもしれません。

ネタの後半、盛り上がっていくにつれて町田さんのボルテージは上がっていき、ややキレ芸的な王道ツッコミへと変わっていきます。

こうなってしまうとエバースの漫才はもう止まりません。

佐々木さんが疑問や提案を矢継ぎ早に投げかけ、それに対して町田さんがツッコミながらボケをかぶせることで場内の笑いが連鎖していきます。

エバースの漫才は終わり直前で大爆笑が生まれる、いわば王道の盛り上がり方が出来る漫才。

そして最後には、意外なほど定番の締めが待っています。

「なんか落語みたいですね」

「いや、落語こんなんじゃねえよ」

ここだけ切り取るとよくある漫才だと錯覚してしまいかねないですが、それまでのエバースワールド全開の理詰め漫才、そして大爆笑に包まれる漫才の締めをシンプルにすることで「良い漫才を見た」という満足感が非常に高くなるように感じます。

漫才ファンをも引き込む作りこまれたネタと卓越した話術に加え、誰でも笑えるシンプルさと定番をおさえた王道の進行。

そんなバランスの良さが、多くの人を引き付ける漫才の理由なのかもしれません。

番外編:絶妙なワードチョイス

ここまでエバースの漫才について熱く語らせていただきました。

彼らの魅力は、たくさん感じていただけたかと思います。

そして、これからエバースの漫才をググりに行こうかな、と思っている方も多いはず。

そこで私からの提案なんですが、彼らの理詰め漫才を見る中でもう一個だけ意識してもらいたいポイントをお伝えさせてください。

それが、独特かつ絶妙なワードチョイス。

皆さんの楽しみを減らしたくないのでここでは最低限に留めさせていただきますが、

・うんこアキネーター

・2月に消える刈上げ

・肘寿司  など

一度聴いたら忘れられない、何とも言えないワードチョイスもエバースワールドを作り出すひとつのスパイスだと感じています。

是非、エバースのネタを見る際には、独特のワードセンスもあわせてお楽しみくださいね♪

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