真空ジェシカの絶妙なセンスと、限度を知らない奇人

芸能

M-1出場の真空ジェシカってどんな漫才師?

M-1グランプリ2024の決勝出場で注目が集まる真空ジェシカ。

プロダクション人力舎所属、2012年結成のバッテリィズは、ボケの川北茂澄(かわきたしげと)とツッコミのガクの2人によるお笑いコンビです。

主なネタのスタイルは漫才コントが中心になるかと思います。

彼らが注目されはじめたきっかけは何と言ってもつかみの面白さじゃないでしょうか。

基本的に彼らのステージは川北さんが話始めた話題に対して、ツッコミのガクさんが「言うとしたら僕~」という定番フレーズで自分の見た目をいじるという、自虐ネタから始まります。

メガネをかけて金髪のマッシュヘアーが特徴的なガクさん。

カウントダウンTVのキャラクターや、見つけたら嬉しいどんぐり、クレヨンしんちゃん「オトナ帝国の逆襲」等、見る人が「確かに」と感じてしまうガクさんに似ているものをつかったつかみは、一瞬で観客の心を掴むと同時に見た目を覚えさせることができて一石二鳥な手法になっています。

私としては、その後に「やっちゃった感」を出して項垂れる川北さんもツボです(笑)

そんな2人は2011年1月、大学時代にコンビを結成しました。

2人の実力派結成当時からずば抜けており、結成から2ヶ月ほどで出場した「第1回漫才を愛する学生芸人No.1決定戦」で決勝進出。

その際に人力舎にスカウトされて、翌年から人力舎の所属芸人となりました。

人力舎にはスクールJCAという養成所があるんですが、彼らは養成所に通っていないにも関わらず20期生と同期扱いとして扱われており、特例の天才という感じがしてかっこいいですよね。

ガクのセンスが絶妙過ぎる

つかみの部分からも感じることができると思いますが、真空ジェシカの漫才は何と言っても絶妙かつ独特なワードチョイス

つかみの似ているものに関しても、誰でも思いつくほど有名じゃないけど、言われたらぼんやりと分かるという「絶妙なライン」を持ってくることが多い様に感じます。

そんなガクさんのワードセンスはつかみに留まらず「罪人と書いてつみんちゅと読む」「理系のおばあちゃん初めて見た」「10日副市長」「出る方が難しい、アメリカの大学と同じなんですね」など、漫才の中にも散りばめられています。

そんな表現の引き出しはどれをとっても「分かるけど詳しくはない」という絶妙なラインばかり。

理解できないのはもちろんNGですが、誰もが思いついてしまうようなものでも飽きられてします。

そんな中で、ガクさんの絶妙過ぎるワードチョイスは「なんて言うんだろう」「また見たい!」と思わせる魅力が詰まっています。

更に、彼の絶妙なセンスはワードチョイスにとどまらず、笑いの量までもをコントロールしてしまいます。

5年ほど前にフジテレビで放送されていた「クーリングオフ型ネタ見せ番組 金返せショー」という番組をご存知でしょうか?

ヒロミさんがMCを務めているこちらの番組は、芸人がネタ見せ前に自らギャラの金額を申告、審査員が「面白さと金額が見合わない」と思ったらギャラを返金しなければいけないという、なんとも攻めた内容のバラエティ番組でした。

この番組の出場者には真空ジェシカをはじめ、今回のM-1で同じく決勝進出を果たしたママタルトやサンドウィッチマン、お見送り芸人しんいちなど、様々な賞レースで実績を残している猛者たちが集まっておりました。

そこで真空ジェシカが披露したネタが「コンビニ」という漫才。

正直言って、サンパチマイクの前で行われる2人のネタは面白くないんです。

というか面白くなくないといけないんです。

このネタは、面白くない微妙なネタを見せた後に、観客の感じている気持ちを代弁して自虐することで笑いを取るという、いわば客いじり系のネタになっています。

こんなプレッシャーのかかる舞台でそんな変則的なネタをやるなよ、と思っちゃいますよね(笑)

そしてこのネタの肝になっているのが、実は「面白くない漫才の部分」なんです。

ここのネタ、言ってみると本編が笑うか笑わないかの絶妙なラインに仕上げられています。

本編外の客いじりで笑いを取りに行くスタイルのネタなので、当然本編が面白いと狙い通りに進みません。

本編で目先の笑いを取ってしまうとフリの醍醐味が半減してしまい、本当に笑いを取りたい客いじりがつまらなくなってしまうというジレンマを抱えたネタです。

一方で、本編がつまらなすぎると当然観客の興味は離れてしまいます。

こんな難易度の高いネタですが、ツッコミ・ガクさんの「絶妙さ」はツッコミに限らず台本作りでも光っていると感じる非常に良いネタだと感じております。

他にも「こんなこと言わない方が良いのですが、大人しく聞いていればちゃんと面白くなるように出来ています」などのメタ発言も飛び出す本ネタ。

M-1グランプリの予選でも披露されて爆笑を取っていたので、見たことのある方も多いかと思いますが、真空ジェシカの絶妙さが非常によく表れたネタだと感じています。

ネタ動画が公式から上がっているわけではないので、本サイトへの埋め込みは控えさせていただきますが、気になる方は「真空ジェシカ 漫才 コンビニ」等のキーワードで是非検索してみてください。

奇人・川北がヤバすぎる

そしてもう一つ、真空ジェシカを語るうえで外せないのが、ボケの川北さんの常軌を逸した奇人ぶり。

本人Xより

朝の情報番組でエスイーエックスと発言してみたり、逆ニッチェというキャラクターで炎上してみたりととにかく奇行が目立つ川北さん。

他にもNHKの生放送で「受信料払っていない」発言をするなど、思いついても普通はやらないような大人に怒られるボケをやっちゃう人物です。

ネタ中はしっかりと練られた台本と絶妙なワードセンス、特徴的な見た目もありツッコミのガクさんが引っ張っている印象の強い真空ジェシカですが、平場では川北さんの暴走が彼らの売りになっています。

最近でこそ知られてきた川北さんの奇人ぶりですが、彼に泣かされた番組プロデューサーも多かったのではないかと容易に想像できます。

絶妙なセンスが光る上手い漫才師だと思ってキャスティングしたは良いものの、絶妙どころか放送禁止ラインや倫理観をすっ飛ばして大爆発の笑いに賭ける川北さん。

見てる側からするとめちゃくちゃ面白いし、金属バットやトムブラウン、みなみかわさん等「ブラックな芸人」が増えているようにも感じます。

コンプラが厳しい今の時代だからこそ、こういった芸風に需要があるのかもしれませんね。

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