ヤーレンズは大人向け漫才で、正統派のスタイルを貫く

芸能

M-1出場のヤーレンズってどんな漫才師?

2024年のM-1グランプリ決勝進出で注目をあびるヤーレンズは、ボケの楢原 真樹(ならはら まさき)さんと、ツッコミの出井 隼之介(でい じゅんのすけ)さんによる漫才コンビです。

昨年大会では、令和ロマンに1票差で惜しくも敗退しておりました。

そんな経緯もあり、この1年間バラエティにも引っ張りだこだった彼ら。

今年は順当にM-1優勝か?と期待されていましたが、昨年王者の令和ロマンがまさかの連続出場を発表。

これまでに無いパターンなので、優勝者は出られないと思っていた方も多いかと思います。

私もその認識だったので、令和ロマンの2連覇宣言には驚きました。

ヤーレンズは去年戦った宿敵の登場ということで、他参加者以上に燃えていること、間違いなしでしょう。

そんな彼らの結成は2011年。

NSC大阪校の出身で、同学年の2人ですが、NSC時代は楢原さんが出井さんの1つ先輩にあたります。

2人ともサザンオールスターズのファンであり、出会いもサザン好きのカラオケ大会だったようです。

コンビ結成後は吉本興業に所属しておりましたが、現在はケイダッシュステージへと移籍しております。

移籍理由はトム・ブラウンが面白くて同じ事務所に所属したかったとのこと、今回のM-1グランプリではトム・ブラウンとも直接対決になるので、そこも見どころの1つかもしれません。

信念をもって正統派漫才を貫くスタイル

様々な個性がぶつかり合う令和のお笑いにおいて、ヤーレンズほど正統派漫才師という肩書が似合うコンビも少ないと思います。

楢原さんの同期である大阪校28期の卒業生はアインシュタインの稲田さん、すゑひろがりず等、出井さんの同期、29期は金属バット、見取り図、メンバーなど。

とにかく個性的な武器やネタをする同期が多い中で、ヤーレンズの正統派漫才はある意味個性的だといえます。

ボケの楢原さんといえば独特なファッションがトレードマークとなっており「ジャケットの丈が短い人」という覚え方をしている方も多いかと思います。

これは寄席などに出演されている、昔ながらの昭和の漫才師が得意としたスタイル。

また、正統派の漫才の端々に小ボケ散りばめるスタイルも、今では「師匠」と呼ばれる漫才コンビに多いやり方だと感じます。

そんな漫才スタイルを得意とするヤーレンズは2015年大会からM-1グランプリに挑戦し続ける苦労人。

同期の芸人が強い個性で売れていく中、なかなか芽が出なかった彼らに対するネット上での評価は

「若手にしては爆発力がない」

「1~2世代前のネタをやっている」

と、正統派漫才を続けるうえで厳しいものが多かったように感じます。

そんな逆境の中でも芸風を変えずに、自分たちの面白いと思ったものを貫き続けたヤーレンズの2人。

以前のインタビューでは「変えたところも変えなかったところも、全部が同じ時期にうまくハマったのかな~と思いますね。」というコメントを残しており、ベテラン芸人のような風格もかんさせるものになっておりました。

そんな2人が自分たちのスタイルを貫き続けた理由のひとつに、前進コンビであるパープーズ時代の日々があるかと思います。

ヤーレンズは以前、パープーズというコンビ名で活動していた時期があったのですが、その頃はネタのスタイルに悩み、日々試行錯誤を繰り返していたそうです。

関西弁の正統派しゃべくり漫才を得意とする彼らでしたが、結成から4年ほどが経った頃に突然標準語に切り替えてみたり、衣装や髪型を変えてみたりと自分たちらしさが分からなくなっていた時期も長かったようです。

ヤーレンズ改名後もそんな日々が続いていた2人でしたが「昔ながらの正統派漫才」という部分は変えることなく貫いてきました。

2人に転機が訪れたのは2019年のころ、それまでしゃべくり漫才ばかりしてきたヤーレンズがコント漫才に手を出したんです。

とはいえ正統派の体裁を保ったものだったので、ファンからすぐに受け入れられ、新規層からは相変わらず「古臭い漫才」と言われることも続いておりました。

しかし、楢原さんの独特なファッションは「本人としてボケるしゃべくり漫才」よりも「奇人を演じるコント漫才」の方が分かりやすかったようで、これが大成功。

賞レースなどの初見さんが多い場面ではコント漫才、単独ライブなどのファンが多い場面ではしゃべくり漫才と、ネタを使い分けながら活動したことでライト層からコア層までの支持を集めるようになり、M-1グランプリで準決勝進出を果たした2022年頃にインタビューコメントでもあった「うまくハマったのかな~」という状態になったようです。

大人から愛される、いい意味で古臭い漫才師

冒頭でも説明した通り、個性的な衣装と小ボケを連発するスタイルの楢原さんは昭和のベテラン漫才師を彷彿とさせます。

そんなキャラクターを有した正統派漫才ということで、やはりターゲットの年齢層は高くなる印象、言ってみれば「大人に愛される漫才師」だと感じます。

さらに彼らのネタは「知らないと笑えない」と言われるほどマニアックなものが多いのも特徴のひとつ。

正統派漫才と言いながら、昨年のM-1グランプリで披露した「ラーメン屋さん」のネタなど、若い世代を置いてけぼりにしていると感じるネタも多い2人。

ツッコミのフレーズに限ってみても「赤穂浪士か」「ベンジャミンバトンみたいなラーメン屋じゃん」「ラブストーリーは突然に(のジャケット)みたいじゃねぇかよ」「誰がデイアフタートゥモローだよ」など、10代20代を完全に無視してるといっても過言ではないワードチョイス。

賞レースの舞台でやるのはどうかなぁ、と感じてしまう部分もある一方で、世代の人からすると腹筋がよじれるほど面白い的確な例えツッコミは他の芸人では替えがきかない個性だと言えそうです。

また、ヤーレンズの舞台は「ネタ入り前の雑談が長すぎる」とよく言われています。

結成数十年の大御所コンビが言われるようないじりですよね(笑)

お正月のお笑い番組で師匠たちに混ざってネタをやっても浮かない漫才師といえばヤーレンズとナイツくらいなものじゃないでしょうか。

ヤーレンズ自体は30代の2人組なんですが、昭和に戻ったのかと錯覚させるような古典的な正統派漫才は大人の心をつかんで離さないものになっているとも感じます。

これから何十年も活躍していくだろうヤーレンズ伝説の序章、M-1グランプリの舞台を楽しみにしたいところです。

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